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~セカンドライフで考えたいこと~家族信託 2

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前回は家族信託の大まかなイメージをお伝え致しましたので、今回はより理解を深めていただくために具体的な事例をご紹介したいと思います。
それでは、どんな人に必要でどんな活用方法があるのかひとつずつみていきましょう!

一軒家からホームなどの施設に移るケース

Aさんは5年前にご主人が他界し、今は一軒家に一人暮らし。歳のせいもあり最近では物忘れが多くなり、だんだんとひとりで身の回りのことをするのが困難になってきました。仕事で遠方にいる一人息子からは心配だからと施設に入ることを勧められ、そろそろ安心して暮らせる施設への入所も考えているようです。

このケースに今後直面する方は少なくない事例かもしれません。
前回のニュースレターでも少し触れましたが、ここで問題なのは仮にAさんが認知症になってしまうケースです。施設への入所には結構な経済的負担が伴います。当初はAさんの蓄えで賄えても、入所が長引けばそうはいきません。誰も住まなくなった一軒家を貸すにしても売るにしても、もしAさんが認知症になってしまったら、それもできなく(難しく)なってしまいます。そこでこのような状況を招く前に、Aさんが委託者(兼受益者)となり息子を受託者にしておけば、一軒家の管理や処分、場合によっては賃貸物件として貸し出すなどの活用もすべて息子の意思で行うことができます。
※補足:受益者とは管理する財産から発生する利益を受け取る権利者となります。このケースなら賃貸物件として息子が貸し出した場合でも、家賃収入はAさんのもの、といった具合です。

孫(まだまだ若い)へ金銭贈与するケース

Bさんには、目に入れても痛くないかわいいお孫さんがいます。数年前に相続税法が改定され、相続税が自分にもかかりそうだとのことで、Bさんは孫への金銭贈与を考えはじめました。ただ、まだ若い孫に毎年お金を渡すとなると、『ちゃんと管理できるかな』、『変なことに遣わないかな』、『浪費癖がつかないかな』など心配が尽きません。

こんなケースでも家族信託が活躍します。
どう活用できるかというと。。。。。。。
■委託者=Bさん
■受託者=息子(孫の親)
■受益者=Bさん
この形態で家族信託契約を行います。
孫が自由にお金を遣えないようにするために、お金を信託財産として息子を受託者にします。そして息子が毎年受益権を孫に贈与すれば、現金ではなく受益権という権利だけを孫は取得することになりますので、現金を好き勝手遣うことができなくなるのです。しかるべき時がくるまで息子が管理することで、Bさんの心配事は解決されました。

三人兄妹のCさん(長女)、Dさん(長男)、Eさん(次男)は、親から相続したアパートを3人で仲良く持ち分を共有しています。でも、最近長女が80歳を過ぎてから判断能力が低下していることに兄弟は気づきはじめました。このままだと、これからアパートの改修や建て替え、売却の際に不都合が起こるのでは、と危惧しているようです。

このように親から譲り受けた不動産を兄弟姉妹で共有しているケースはよく耳にします。この兄妹もこれまでは3人仲良く話し合い管理してきましたが、このままだと色んな問題に直面する可能性があります。そこで家族信託を活用する方法としては、CさんがCさんの子に共有部分を信託財産として委託する、またはDさんとEさんに委託する契約を結べば、Cさんの判断能力が低下したとしても実行不能リスクを回避することができます。
さて、最後の事例となりますが、このケースは多少ややこしいので図をつかい説明します。

先祖代々のこの土地だけはぜったい長男に引き継がせたいというケース

Fさんは、先祖代々引き継いでいる由緒あるこの土地だけは、自分がなくなったあと確実に長男に引き継ぎたいと考えています。さらに長男がなくなった後には長男の妻ではなく孫に引き継ぎたいとも考えています。ただ、遺言では先々の財産継承を指定することは法律上できない事も知っています。今のうちに妻や子に希望を伝え遺言まで作成させたとしても、自分がなくなった後に妻や他の子どもたちの要望で書き換えられることもあり、何かいい方法がないかと模索しています。

このケース、Fさんの気持ちはよくわかりますが、法律上遺言では自身の財産継承しか指定することができず、二次相続以降の継承先を指定することができません。しかし、家族信託を上手に活用することでFさんの想いをかなえることも可能です。
たとえば、自身の財産を信託財産として『委託者兼受益者=Fさん』、『受託者=長男』という信託契約を長男と結びます。そして、信託契約の中に自分が亡くなったら受益権は妻に相続し、妻は受託者の長男から生活費やその他諸々のお金を受け取れるよう明記しておきます。さらに妻が亡くなった時点でこの信託契約を終了させ、土地を含めた残った財産を長男に継承させる旨を決めておけばよいのです。

このように、家族信託を活用して『受益権』を何代か先まで指定することは、実質的に自身の財産の承継先を何代も先まであらかじめ指定することと同じことになります。

以上、前回に引き続き2回シリーズで『家族信託』をお送り致しました。
この家族信託はまだまだ事例も少なく、専門家という専門家もほとんどいないのが現状です。今回ご紹介した事例は実際に運用されている事案となりますが、今後は多種多様なケースも出てくるものと思われます。人生100年時代、時代の移り変わりが早い昨今、選択肢を一つでも多く持たれておくことも肝要です。その一つとして今回は家族信託をご紹介させていただきました。

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